2011年1月13日木曜日

Column:米国ベライゾンによる「CDMA2000版iPhone 4」投入

 注目を集めてきた「CDMA2000版iPhone 4」がいよいよ米国ベライゾンから発売されることとなった。これまではAT&Tのみが独占提供してきただけに、これによってAppleとAT&Tの排他的提携が終焉を迎えたこととなる。

 基本的な機能やスペックでAT&T版iPhone 4と違いはないものの、Verizon版では、「Personal Hotspot」と呼ぶテザリング機能を備えている。これは、iPhoneをルーターのようにして使い、最大5台のWi-Fi対応デバイスでインターネット接続を共有できるというもの。

 価格は、いずれも2年契約を条件に16Gバイトモデルが199.99ドル、32Gバイトモデルが299.99ドルと、これもAT&T版と同じだ。

 米国最大の携帯キャリアであるベライゾンは、これまでCDMA2000方式を採用し、世界的にはマイノリティであった同陣営のリーダ的存在だった。

 しかし、2007年末同社は次世代ではCDMA2000に競合するW-CDMA系のLTEを導入すること発表し、世界の潮流をLTEに決定付ける原動力ともなった。

 先頃開催された「2011 International CES」では、LTEサービスに対応した10種類の端末を発表したが、そのうち4機種はAndroid搭載機を用意するなどLTEへと一気に舵を切ろうとしている。しかし、今回発売される「CDMA2000版iPhone 4」はLTEには対応していない。

 「CDMA2000版iPhone 4」の発売は2月10日からということだが、ネット上には早くも2011年中に1,000万台以上のiPhone契約者を獲得する(ベライゾン契約者数-約9,300万人)という予測データも出ている。

 これまでAT&T版iPhoneについては、通信ネットワークの貧弱さを指摘されてきただけに、利用者からは歓迎するコメントが数多く紹介される。

 通信料金については、現時点では明らかにされていないものの、次の焦点は定額制料金プランに踏み切るかどうかだろう。実は米国では昨年よりAT&T、ベライゾンとも、一部ヘビーユーザーのデータ通信量を抑える目的などから、従量制課金を導入している。

 そして、最大の関心は「CDMA2000版iPhone 4」が日本へ投入される可能性についてである。国内でCDMA2000を採用するのはKDDIだけだが、周波数など純粋な技術面からだけなら、そのまま持ってきて使うことは理論上は可能であろう。

 当然だが、導入にあたってそれ以外の政治的な側面の方が大きいだけに何とも言えないものの、憶測も含め期待を集めることになることは間違いなさそうだ。

2011年1月11日火曜日

Column:一段と強まる値下げ圧力!他社向け通話定額サービス導入の波紋

 2011年に入り早くも通話料金競争が激化する兆しを見せている。昨年12月、ウィルコム他社携帯・固定宛の通話がオプション契約の月額980円で定額となる「だれとでも定額」を導入し話題を集めたが、今度はイー・モバイルが毎月の基本料と別に月1,820円の追加料金を支払えば、同様に他社の携帯電話や固定電話への国内通話も無料となるキャンペーンを展開する。 

 これは、「通話定額キャンペーン」という名称で1月14日~3月末まで展開する。通話料金が無料となるのは、1回当たり10分以内の通話が対象で、通話回数は月500回まで。10分超過や501回目以降は一律30秒18・9円の通話料がかかる。通話定額の適用期間は最長25カ月。

 スマートフォンの基本料は、2年の継続利用を前提とした場合で月4,5800円や月580~4,980円など。通話定額を適用した場合は月6,400円または月2,400~6,800円となる。

 一方、先行するウィルコムの「だれとでも定額」は、500回を超えた通話については30秒毎に21円の料金が設定されている。10分を超える通話については、各料金プランに順次した通話料がかかる。

 また、音声通話向け料金プラン新ウィルコム定額プラン(月額2,900円)、新ウィルコム定額プランS(月額1,450円)と組み合わせて利用するようになっており、基本的にはW-SIMカード対応機種向けに提供されている。

 対象端末などの差はあるものの、きしくも昨年12月に総務省が接続料の算出根拠を開示させる方針を決めたという報道が流されたばかりで、他社向け回線料金引き下げの圧力が強まりつつある。

 携帯各社は自社の携帯端末同士の通話を無料にするサービスは、既に展開済みだが、接続料を支払わないといけない他社の端末や固定電話との通話料は高く据え置いたままとなっている。そうしたなか唯一、通話料金見直しに前向きだったのがイー・モバイルだったされる。

 これによってイー・モバイルやウィルコムが加入者増加にどのくらい寄与するのか、その結果次第で大手3社も収益源である他社回線向け定額サービスへ踏み切らざるを得なくなると見られる。

2010年12月6日月曜日

Reserch Note:iPad失速で第一幕が終わったタブレット端末市場の次の戦い

 AM:ある量販店関係者との定例ミーティングにて

 スマートフォンと共にモバイル業界の起爆剤として期待を集めているiPadなどタブレット端末。米国では既に年末商戦の目玉として販売も好調とのことだが、その量販関係者によると、iPadが発売された当初こそ好調な伸びを示したものの、その後は減少傾向が続き、直近では半分近くまで落ち込んでいるらしい。

 そうした状況を憂慮してか、ソフトバンクモバイルは12月より公式ショップ「ソフトバンクショップ」でのiPad取り扱いを2,000店(これまでは100店舗強だった)に拡大するとともに、携帯機能が搭載されたモデルについて、2年契約を前提に端末代5万8,320円を実質0円にするキャンペーンを展開してこ入れを図ろうとしている。

 一方、タブレット端末市場への関心を示しているのはソフトバンクだけではない。11月末からはドコモがサムスン電子の「ギャラクシータブ」を投入したのに続き、シャープとソニーは電子書籍が読めるタブレット型端末を発売する。シャープが発売する「ガラパゴス」は、持ち運びできる5.5型と、家庭用の10.8型の2モデルを展開。電子書籍約2万冊のほか、新聞や雑誌も用意した。ソニーも「リーダー」を発売予定で、紙の本を読むように目が疲れにくい電子ペーパーを使ったのが特徴だ。

 注目度抜群のなか新たに誕生したタブレット端末市場だが、iPadの失速で第一幕は終わり、年末からはプレーヤー混戦のなか次の戦いがスタートすることとなる。

 来年初めにはiPadの新型投入も噂されているが、その関係者によると顧客に具体的な使い方を提案できるかが普及の鍵を握るとのことだった。

2010年12月2日木曜日

Column:復活の狼煙を上げたウィルコムの切り札投入

 ソフトバンクの傘下に入り、東京地方裁判所に提出していた更生計画が認可されたウィルコム再生の一歩として、毎月の基本料と別に980円の追加料金を支払えば同社の加入者同士だけでなく、他社の携帯電話や固定電話への国内通話も無料となる「だれとでも定額」を始めることとなった。12月3日より開始する。

 オプションサービス「だれとでも定額」(月額980円)に加入すると、ウィルコム以外の携帯電話や一般加入電話、IP電話への10分以内の国内通話が、月500回まで無料で利用可能となる。10分を超過した場合は利用料金コースに応じた通話料がかかる。500回を超過した場合は21円/30秒の通話料金となる。

 もともと同サービスは会社更正法の影響を受けないウィルコム沖縄が4月9日~5月31日(受付期間)の期間限定で提供した結果、5月末時点での契約数が2,500件純増の40,500件(対前月比6.6%増)を記録。全国的な反響の大きさから9月からは新たに北海道/宮城/広島で同様のサービスが試験という位置づけで提供されてきた。

 再生への道筋が二転三転し、ウィルコム自身が意思決定できる範囲が狭まるなかで、支援する親会社のソフトバンクは他社を含めた完全定額は世界初の画期的なサービスであるものの、一時的に加入者が増加しても採算割れが濃厚ということで、同サービスの商用化には消極的だったとされるが、あえてGoサインを出した理由に興味を抱く。

 勝手に推測すれば、再生にあたり何よりもピーク時(2007年7月の465万人)から100万弱の顧客流出という止血対策を優先する必要があったのではないだろうか。

 一方、複数の関係者からは、ソフトバンクによるウィルコム買収の狙いについて様々な意見を伺っているが、整理すると以下のようになる。
 ・370万の顧客基盤
 ・PHS基地局エントランス回線のSBTへのスイッチによるSBグループシナジー
 ・16万局のPHS基地局の携帯基地局向け用地としての活用
 ・周波数の獲得
 
 更生計画案では現行PHSを展開しているウィルコムへのソフトバンクの出資金額は3億円しかなく、ヒットしている「iPhone」の顧客獲得コスト約5万円/台という前提に立てば、決して悪くない買い物ではなかったか。

 もともとPHSサービスは、2000年から2004年までのKDDI時代は親会社との競合を敬遠され、データ通信を主軸にした展開を押し付けられながらも加入者を増加させてきた。2004年には米投資会社が買収し、独自のポジションを確立することに成功。しかし、その後ソフトバンクの音声定額、イー・モバイルのデータ通信定額サービスの攻勢を受け一気に失速。更には次世代PHS事業への投資負担も重なったことで経営悪化が表面化し、今年2月会社更生法の適用を申請した。

 このようにウィルコムの失敗は、弱肉強食のサバンナで体の小さい小動物が大型の肉食獣に狙われるがごとくという側面はあったにせよ、本質的な問題はコスト削減を優先するあまり、果敢に仕掛けていく力が弱かった(=無かった?)ことに尽きるのではないかと思う。

 言い方としては誠に失礼ながら、外部から社長を招いた一時期を除けば、PHSラブ(LOVE)な人達が集まり常に『守り』の視点で事業にあたっていたような・・・。

 その意味で、今回の新サービスはインパクトを持って市場では迎えられるのではないだろうか。新生ウィルコムの復活に期待したい。

2010年12月1日水曜日

Column:KDDI「IS03」ヒットの影で気になるネーミングの話題

 KDDI復活の切り札として投入したスマートフォン「IS03」が順調な滑り出しを見せているようだ。11月26日に発売となったが、同社によると、インターネット上で事前購入宣言した人の数が27万人に達しているとしている。

 同端末は、スマートフォンとしては初めて「おサイフケータイ」や「ワンセグ」など、これまで国内向けフィーチャーフォンに標準搭載されてきた機能が使えるのが大きな特徴で、和製スマートフォンの尖兵に位置づけられている。

 もっとも、27万人のうち新規契約と答えた割合は1割程度で、多くは他のau端末からの機種変更が占めているとされており、全く意地悪な見方だが、これまでKDDIには買い換えたい端末がなかったということの裏返しのような気がしないでもない。

 個人的には、ソフトバンクの「iPhone」「iPad」、ドコモの「Galaxy」などライバルはスマートフォンにクールなネーミングなのに、何故KDDIだけは「IS01」・・・「IS03」と型番のようなネーミングなのだろう???不思議だ。

 短距離走世界一のウサインボルトやレディーガガといった尖がった人を使ったクリエイティブを製作するのだから、もっと考えようもあったろうにと思ってしまう。

 伝え聞くところによると、端末を供給しているシャープは「ガラパゴス○○」としたかったらしいが、KDDIサイドの猛烈な反対にあったという話もチラホラ。

 いずれにしても、今回のヒットを本格的な回復軌道へつなげることができるか、12月からスタートする新体制に注目が集まることとなりそうだ。

2010年11月30日火曜日

Reserch Note:SIM解除がもたらす新たな競争サービス

 PM:ある通信キャリアとの定例ミーティングにて。

 2011年の移動体通信産業の大きな話題となりそうなのが、SIMカードの解除ではないだろうか。

 この問題では、総務省が2011年4月以降に発売される携帯電話端末で対応可能なものからSIMロック解除に応じるよう携帯通信各社に求めていたものの、各社の反発もありSIMロック解除は各社の自主的な判断に委ねる形に落ち着いた。結果、ドコモやソフトバンクモバイルなど携帯各社間で対応に“温度差”が生じる見通しだ。

 総務省としては、解除により端末開発の自由化や海外での利用拡大につなげたいという狙いがあったと見られる。ただ、SIMロック解除により、携帯端末を相互に利用できるようになるのは当面はドコモとソフトバンクだけとなる。KDDIは異なる通信方式を採用しているため各社がロックを解除してもKDDIの端末を他の通信会社の回線で使うことはできない。3社の完全な相互融通が可能になるのは、KDDIがLTEに対応する12年からだ。

 一方、これついて最も積極的な姿勢を見せているドコモでは、2011年4月より出荷する全ての携帯端末について、「SIMロック」を解除できるようにするとしており、携帯キャリア間の顧客争奪戦は更に激化することとなりそうだ。

 そうした競争状況を見据え、その関係者が注目しているのが「テザリング」だという。これが利用できるようになれば、例えばスマートフォンに搭載されている通信回線を使ってノートPCなどからネットに接続できるようになる反面、トラフィックが爆発的に増加することから、その点で携帯キャリアにとっては悩ましい機能でもあるという。しかし、端末OSサイドでは既にiPhone OSは 3.0以降で、Android でも2.2からはこのテザリング機能がサポートされているのだ。つまり、「テザリング」をやるかどうかは、携帯キャリアの胸三寸と言う状態にある。

 今年6月に開催されたソフトバンクの株主総会で孫社長が質問に答える形で「テザリング」について、以下のような見解を示している。

 「iPhoneユーザーは一般の10倍のパケット量の通信をしている。テザリング機能を利用可能にすると100~200倍のパケットを使うユーザーが出てくる可能性がある。定額料金で100人分の帯域を占拠させるわけにはいかず、提供することはできないという経営判断。通信料金が青天井ならばテザリング機能も容認する」

 しかし、2011年からはこうした事情に関係なく「テザリング」競争に突入するというのが、その関係者の見解で各社の次世代ネットワークへの張替えは高速化よりもトラフィック対策が重視されているとしている。

 その点では、ドコモのLTE「Xi」の料金体系が示しているように、今後は定額制の流れにも影響を与えていくことになるだろう。

 いずれにしても爆発的な急増が予測されるトラフィックをどのように封じ込めながら、競争優位に立てるか。来年は、足腰と相談しながらの体力勝負へ突入していくこととなりそうだ。

2010年11月23日火曜日

Column:スマートフォンによって変容するモバイル市場の構図

 和製スマートフォンとして注目を集める「IS03」が11月26日より発売されることが決まった。ワンセグやおサイフ機能、赤外線通信、Ezwebメールを搭載するほか、LISMO!やau one ナビウォーク、携帯電話向けソーシャルゲーム「サンシャイン王国」など独自サービスも移植されている。

 これまでスマートフォン市場では、先行する「iPhone」をドコモが4月に発売した「Xperia(ソニー・エリクソン)」と10月の「GALAXY S(サムスン)」が追撃する構図だったが、これに「IS03(シャープ)」が参戦する。

 量販店のPOSデータを集計しているBCNによると、10月のスマートフォンの比率は、過去最大の33.1%を記録したとしている。9月は27.8%だったが、10月に「GALAXY S」が投入されたことで、スマートフォンの比率が更に上昇した格好だ。

 BCNの集計対象店舗という条件付だが、携帯電話全体の販売台数に占める、32GBモデルと16GBモデルを合算した「iPhone 4」のシェアは21.1%と5台に1台は同端末ということになる。
 
 一方、10月の携帯キャリア別のスマートフォン比率では、「iPhone 4」効果でソフトバンクモバイルが71.9%と圧倒的だが、ドコモも23.6%と4台に1台はスマートフォンという計算だ。それに対し、出遅れたKDDIはわずか6.3%しかなく、今回の「IS03」投入によってどのくらいキャッチップできるか注目される。

 次にアングルを端末ベンダーに移すと、国内スマートフォン市場を牽引してきたのは、これまでは外資系端末ベンダーである。そうでなくても市場の収縮は加速しており、合併などで生き残りを目指している国内勢にとっては、スマートフォンの波に乗り切れていないことにじくじたる想いがあるのではないかと推察する。

 そこで、ここにきて国内端末ベンダーの雄であるシャープとパナソニックが相次いでスマートフォンに関する説明会を開催し、同事業の強化を鮮明に打ち出した。撤退するノートパソコンの部隊をスマートフォン開発に振り分けるとするシャープは、スマートフォンの国内販売台数を2~3年以内に年間500万台に引き上げ、約30%のシェアを目指す方針を表明。また、パナソニックは、2011年前半にAndroidスマートフォン投入し、2015年には海外市場を含め1,500万台の出荷を目指すとしている。

 スマートフォンの台頭が、国内端末ベンダー復活のトリガーになりえるのか、それとも・・・。モバイル市場の構図がスマートフォンによって日に日に変容しているように映る。