Reserch Note:取材先で聞いたキャリア各社のネットワーク逼迫とLTE展開
ようやく、「携帯電話基地局市場及び周辺部材市場の現状と将来予測」が発刊しました。制作が遅れ、ご予約いただいておりました関係各位には大変ご迷惑をおかけしましたこと、深くお詫びいたします。
さて、今回、調査レポートを制作する上で、基地局に関連するベンダ各社を中心に取材活動を行い、さまざまな“生の声”を伺うことができました。基地局市場自体はモバイルキャリア各社が年間1兆5,000億円もの設備投資額を投下する中、1兆円程度を占める大きな市場になっています。
これらの市場には無線機やアンテナ、コネクタ、電源、蓄電池ベンダ、基地局工事を担当するエンジニアリング会社が参入し、キャリアのインフラ構築に一役買っています。
携帯電話基地局市場及び周辺部材市場の現状と将来予測を制作するにあたり、できる限り、調査レポートに“生の声”を盛り込みましたが、それでも掲載しきれなかった部分があります。それらの中で今回は携帯電話ネットワークの逼迫やKDDI(au)のLTE展開などを取り上げてみます。
携帯電話ネットワークの逼迫に関しては、ユーザ数の多いNTTドコモが逼迫しているといった声や、「iPhone」ユーザ増のソフトバンクモバイルが最も逼迫しているという声がありました。KDDI(au)のネットワーク逼迫については声があがらず、スマートフォンへの移行が遅れた結果、ベンダ各社はKDDI(au)のトラヒックが他キャリアに比べ、まだ余裕があるとみているのでしょう。
確かに現在のネットワークの逼迫やトラヒック急増は、キャリア各社によるフィーチャーフォンからスマートフォンへの移行が大きな要因とされています。しかし、携帯電話サービスは限られた周波数帯を利用するため、今後はユーザにも配慮が必要となるかもしれません。そのため将来的には節電ならぬ、節網(節ネットワーク)の考え方も登場することでしょう。
一方、KDDI(au)のLTE展開については、ソフトバンクモバイルが2012年中の開始とやや不明確ですが、現状ではKDDI(au)の2012年12月開始が最後発となる見込みです。KDDI(au)自体はロケットスタートを目指すといっていますが、実際にはLTE展開が順調に進んでいないのではないかという声も聞きました。
総務省総合通信基盤局の「無線局情報検索(2011年11月12日時点)」において、KDDI(au)は800MHz帯で関東エリア829局、九州エリア599局、東海エリア486局となっています。九州エリアでの基地局が多いため、こちらでKDDI(au)はLTE試験を行っているのではというベンダもいました。
また、NTTドコモは明確なLTEエリア展開計画を公表していますが、他キャリアに関しては今一つ不透明な状態です。そのためKDDI(au)はまだ、LTEエリア展開に迷いがあるのではと勘ぐる声もありました。LTEサービスはキャリア各社にとって、既存3Gサービスに代わる将来の基盤サービスとなる重要なネットワークです。
自社保有帯域すべてへのLTE化を前倒しし、早期にLTEへユーザを移行させたいNTTドコモ、LTEよりもiPhoneのトラヒック分散が課題のソフトバンクモバイル、EV-DO Advancedを導入しつつLTEのロケットスタートを狙うKDDI(au)。今後の各社のLTE展開に目が離せません。
執筆:大門太郎
関連資料
「2015年度における携帯電話市場の動向と予測」
~キャリアの視点から2015年度の携帯電話市場を総合的に分析~
http://www.mca.co.jp/pay_contents/FormMail/forecast2015.html
「携帯電話基地局市場及び周辺部材市場の現状と将来予測」
~基地局市場をキャリア・メーカー・エンジニアリング会社等多角的な視点からトータルに分析~http://www.mca.co.jp/pay_contents/FormMail/mobileBasement&PartsMarket2011.html
モバイル-IT調査レポート「IT Forcaste Report」
http://www.mca.co.jp/ifr/top.htm
2011年12月22日木曜日
Column:急速に広がっていくXiエリア
NTTドコモがLTEサービス「Xi(クロッシィ)」のエリア拡大を積極的に進めていま
す。当初計画を前倒しし、2010年度に約1,100局(人口カバー率約8%)であった基
地局数を、2014年度には約50,000局(同約98%)にまで拡大する計画です。当初、
2014年度に約35,000局(同約70%)であったため、約15,000局の前倒しとなり、NTT
ドコモのXi移行の本気度が伺えます。
自社保有のあらゆる帯域でLTE化を進めるNTTドコモは2GHz帯に続き、800M/1.5GHz
帯でも開始させ、1.7GHz帯へも拡大を図る計画です。さらに新周波数帯として、割
り当てが予定されている700MHz帯も視野に入れているようです。
WiMAXのUQコミュニケーションズを傘下に持つKDDI(au)、AXGPのWireless City
Planningをグループ会社に持つソフトバンクモバイルに比べ、NTTドコモにはNTTグ
ループのWi-Fiのみとなります。そのためNTTドコモは周波数利用効率の高いLTEへの
移行を促進させることでトラヒックの分散を図っていく考えなのでしょう。
また、私事ですが、実は2011年11月から「ARROWS Tab LTE F-01D」のモニターとな
り、使用感などを試させていただいています。現状、ARROWS Tab LTE F-01Dは通勤
時のお供、子どもたちのおもちゃとして、大活躍しています。
Xiエリアの状況としては、さすがに山手線圏内はXiエリアとして、LTEでの通信が可
能ですが、中央線に乗り換え、都心から離れていくに従い、3Gマークの表示に切り
替わります。さらに自宅は2012年2月末までの拡大予定エリアに入っており、残念な
がら今はまだ3Gでの「FOMA」エリアになっています。
通信速度に関して、Xi利用時には申し分ないのですが、FOMAに移り変わった際にXi
利用時との速度差を大きく感じます。自宅で「YouTube」を観るにしても、FOMAでは
通信が滞り、観るに耐えない状況です。これらはいずれXiエリアの拡大に伴って解
消されていく見込みですが、早期的なXiエリア展開が望まれます。
なお、NTTドコモのXi向け設備投資やエリア展開に関しては、「携帯電話基地局市場
及び周辺部材市場の現状と将来予測」に詳しく掲載しています。ご興味がございま
したら、ぜひ、弊社サイトまで!!
執筆:大門太郎
関連資料
「携帯電話基地局市場及び周辺部材市場の現状と将来予測」
~基地局市場をキャリア・メーカー・エンジニアリング会社等多角的な視点から
トータルに分析~
モバイル-IT調査レポート「IT Forcaste Report」
http://www.mca.co.jp/ifr/top.htm
す。当初計画を前倒しし、2010年度に約1,100局(人口カバー率約8%)であった基
地局数を、2014年度には約50,000局(同約98%)にまで拡大する計画です。当初、
2014年度に約35,000局(同約70%)であったため、約15,000局の前倒しとなり、NTT
ドコモのXi移行の本気度が伺えます。
自社保有のあらゆる帯域でLTE化を進めるNTTドコモは2GHz帯に続き、800M/1.5GHz
帯でも開始させ、1.7GHz帯へも拡大を図る計画です。さらに新周波数帯として、割
り当てが予定されている700MHz帯も視野に入れているようです。
WiMAXのUQコミュニケーションズを傘下に持つKDDI(au)、AXGPのWireless City
Planningをグループ会社に持つソフトバンクモバイルに比べ、NTTドコモにはNTTグ
ループのWi-Fiのみとなります。そのためNTTドコモは周波数利用効率の高いLTEへの
移行を促進させることでトラヒックの分散を図っていく考えなのでしょう。
また、私事ですが、実は2011年11月から「ARROWS Tab LTE F-01D」のモニターとな
り、使用感などを試させていただいています。現状、ARROWS Tab LTE F-01Dは通勤
時のお供、子どもたちのおもちゃとして、大活躍しています。
Xiエリアの状況としては、さすがに山手線圏内はXiエリアとして、LTEでの通信が可
能ですが、中央線に乗り換え、都心から離れていくに従い、3Gマークの表示に切り
替わります。さらに自宅は2012年2月末までの拡大予定エリアに入っており、残念な
がら今はまだ3Gでの「FOMA」エリアになっています。
通信速度に関して、Xi利用時には申し分ないのですが、FOMAに移り変わった際にXi
利用時との速度差を大きく感じます。自宅で「YouTube」を観るにしても、FOMAでは
通信が滞り、観るに耐えない状況です。これらはいずれXiエリアの拡大に伴って解
消されていく見込みですが、早期的なXiエリア展開が望まれます。
なお、NTTドコモのXi向け設備投資やエリア展開に関しては、「携帯電話基地局市場
及び周辺部材市場の現状と将来予測」に詳しく掲載しています。ご興味がございま
したら、ぜひ、弊社サイトまで!!
執筆:大門太郎
関連資料
「携帯電話基地局市場及び周辺部材市場の現状と将来予測」
~基地局市場をキャリア・メーカー・エンジニアリング会社等多角的な視点から
トータルに分析~
モバイル-IT調査レポート「IT Forcaste Report」
http://www.mca.co.jp/ifr/top.htm
2011年3月10日木曜日
Column:基地局数&周波数帯で問われる携帯キャリアの競争力
現在、弊社では「携帯電話基地局市場の現状と将来予測2011」という調査レポートの発刊へ向け、各方面へ取材を行っているところだが、そのなかで、最も不透明なのがソフトバンクモバイルのインフラ戦略である。
主力バンドである2GHzに加え、最近サービスを開始したDC-HSDPAの「ULTRA SPEED」は1.5GHzで、そして将来的には700/900MHz帯の獲得とウィルコムの次世代XGP(TD-LTE)の活用も含めてなど、その姿が見えにくい。
当面の注目点は、2010年3月末現在で約6万だった基地局数を2011年度3月末までに12万(いずれも屋内基地局を含む)に倍増するとした「電波改善宣言」の進捗だろう。2010年度3Qの決算発表では、3月末には12万局、9月末には14万局になるとしているが、そのうちレピーターが含まれるのか、フェムトはどうなのかなど、これまた定義が今ひとつはっきりしない。
但し、これまで10年弱かけて6万局しか設置していなかった基地局を、たったの1年で2倍にしようというのだから並みの努力では実現できないことだけは確かだ。かつて、ソフトバンクはボーダフォン買収時に弱点だった基地局問題を一気に片付けるとして、「B4P」というプロジェクトを立ち上げ、リバースオークションという呼ばれるコストダウン手法を導入したものの、結果は内部的にも外部的にも決して満足のいくものではなかった。
そして、今回は12万局達成の隠しタマとして、ウィルコムの基地局ロケーションを活用するとしているが、その多くはコン柱である。理論的には、基地局設置のなかで最も手間と時間のかかる置局交渉が必要ないという点で「なるほど」と思う。しかしその一方で、当然だがPHSと携帯電話では出力やカバーエリアも異なり、更には携帯電話には「干渉」問題も付きまとう。この短期間で、数をこなしながら電波が最適に吹くよう綿密なエリア設計がなされているのだろうか。
そうした懸念から、果たして総務省に届けられている基地局数から素直にドコモやKDDIと同じようにエリア品質やエリア整備が進んでいる考えていいのかという疑問も沸く。少なくとも、現時点で発表されている基地局数にあるように、KDDIよりSBMのエリア品質が優れているようには感じられない。
むしろ、その原因を別のところに求めるなら、利用している周波数の違いも大きいような気がする。800MHzがメインのKDDI,2GHzがメインながらもルーラルでは800MHzを活用し、効率的なエリア展開を行っているドコモ。それに対してSBMには、800MHzがない。
MCAでは、携帯キャリアの競争戦略における根本的なポイントの一つは、使用している周波数帯幅と周波数帯にあると考えている。中身は別に、数的には3社がイーブンへ近づく中、改めて使用する周波数帯の意味が問われてきそうだ。
SBMのインフラ戦略について、今回の調査レポートでは、いくつかのシナリオを提示し分析していきたいと考えている。
主力バンドである2GHzに加え、最近サービスを開始したDC-HSDPAの「ULTRA SPEED」は1.5GHzで、そして将来的には700/900MHz帯の獲得とウィルコムの次世代XGP(TD-LTE)の活用も含めてなど、その姿が見えにくい。
当面の注目点は、2010年3月末現在で約6万だった基地局数を2011年度3月末までに12万(いずれも屋内基地局を含む)に倍増するとした「電波改善宣言」の進捗だろう。2010年度3Qの決算発表では、3月末には12万局、9月末には14万局になるとしているが、そのうちレピーターが含まれるのか、フェムトはどうなのかなど、これまた定義が今ひとつはっきりしない。
但し、これまで10年弱かけて6万局しか設置していなかった基地局を、たったの1年で2倍にしようというのだから並みの努力では実現できないことだけは確かだ。かつて、ソフトバンクはボーダフォン買収時に弱点だった基地局問題を一気に片付けるとして、「B4P」というプロジェクトを立ち上げ、リバースオークションという呼ばれるコストダウン手法を導入したものの、結果は内部的にも外部的にも決して満足のいくものではなかった。
そして、今回は12万局達成の隠しタマとして、ウィルコムの基地局ロケーションを活用するとしているが、その多くはコン柱である。理論的には、基地局設置のなかで最も手間と時間のかかる置局交渉が必要ないという点で「なるほど」と思う。しかしその一方で、当然だがPHSと携帯電話では出力やカバーエリアも異なり、更には携帯電話には「干渉」問題も付きまとう。この短期間で、数をこなしながら電波が最適に吹くよう綿密なエリア設計がなされているのだろうか。
そうした懸念から、果たして総務省に届けられている基地局数から素直にドコモやKDDIと同じようにエリア品質やエリア整備が進んでいる考えていいのかという疑問も沸く。少なくとも、現時点で発表されている基地局数にあるように、KDDIよりSBMのエリア品質が優れているようには感じられない。
むしろ、その原因を別のところに求めるなら、利用している周波数の違いも大きいような気がする。800MHzがメインのKDDI,2GHzがメインながらもルーラルでは800MHzを活用し、効率的なエリア展開を行っているドコモ。それに対してSBMには、800MHzがない。
MCAでは、携帯キャリアの競争戦略における根本的なポイントの一つは、使用している周波数帯幅と周波数帯にあると考えている。中身は別に、数的には3社がイーブンへ近づく中、改めて使用する周波数帯の意味が問われてきそうだ。
SBMのインフラ戦略について、今回の調査レポートでは、いくつかのシナリオを提示し分析していきたいと考えている。
2011年3月3日木曜日
Reserch Note:水面下で進む?iPhoneの国内マルチキャリア化へ向けた条件整備
このところ複数の訪問先で、iPhoneのドコモやKDDI導入の可能性について、意見を求められる機会があった。
国によって状況は異なるが、こまでiPhoneが1社にしか導入されていなかった代表的な国として、米国(AT&Tワイヤレス)、韓国(KT)、そして日本(ソフトバンクモバイル)があった。
しかし、周知のように最近、米国と韓国では1社体制は崩れ、更にはアップル自身が米国でベライゾン・ワイヤレスがCDMA2000版iPhoneの発表の際に、「これで1社独占契約の国はなくなった」と明言したのである。
また、最近のソフトバンクの決算発表の席でも、孫社長がアップルとは独占契約ではないとコメントしていることからも、ドコモやKDDIといったライバル会社からiPhoneが発売されても、契約上は何ら不思議はないということになる。
むしろ、国内でアンドロイド旋風が本格化する2011年度以降、スマートフォン市場においてiPhoneのポジションが相対的に影響を受けることは容易に想像できる。アップルとしては、勢いがあるとは言えシェア3位の携帯会社のみの供給体制でいいのかということは、当然のことながら考えるだろう。
一方、ドコモやKDDIにとってもiPhoneという存在は、ソフトバンクへの対抗上からも、依然として喉から手が出るほど欲しい『タマ』だろう。
両社は、このところスマートフォン化へと大きく舵を切っているが、共通しているのは、グローバル端末の採用へ向けて動き始めている点である。
背景には、アンドロイドOSという世界標準のプラットフォームが普及するなかで、世界中の端末ベンダーがスマートフォンを容易に開発できるようになったこと。そして、もう一つは携帯会社サイドで、これまで国際標準に対応していなかった周波数再編(新800MHz)が進み、容易にそうした端末を調達しやすくなったことが挙げられる。
国内におけるiPhoneのマルチキャリア化へ向けた条件整備が着実に進んでいることだけは間違いない。
◇関連情報
Column:米国ベライゾンによる「CDMA2000版iPhone 4」投入 (2011年1月13日木曜日)
http://mca-mobilenewsletter.blogspot.com/2011/01/columniphone.html
Column:スマートフォンによって変容するモバイル市場の構図 (2010年11月23日火曜日)
http://mca-mobilenewsletter.blogspot.com/2010/11/column_23.html
国によって状況は異なるが、こまでiPhoneが1社にしか導入されていなかった代表的な国として、米国(AT&Tワイヤレス)、韓国(KT)、そして日本(ソフトバンクモバイル)があった。
しかし、周知のように最近、米国と韓国では1社体制は崩れ、更にはアップル自身が米国でベライゾン・ワイヤレスがCDMA2000版iPhoneの発表の際に、「これで1社独占契約の国はなくなった」と明言したのである。
また、最近のソフトバンクの決算発表の席でも、孫社長がアップルとは独占契約ではないとコメントしていることからも、ドコモやKDDIといったライバル会社からiPhoneが発売されても、契約上は何ら不思議はないということになる。
むしろ、国内でアンドロイド旋風が本格化する2011年度以降、スマートフォン市場においてiPhoneのポジションが相対的に影響を受けることは容易に想像できる。アップルとしては、勢いがあるとは言えシェア3位の携帯会社のみの供給体制でいいのかということは、当然のことながら考えるだろう。
一方、ドコモやKDDIにとってもiPhoneという存在は、ソフトバンクへの対抗上からも、依然として喉から手が出るほど欲しい『タマ』だろう。
両社は、このところスマートフォン化へと大きく舵を切っているが、共通しているのは、グローバル端末の採用へ向けて動き始めている点である。
背景には、アンドロイドOSという世界標準のプラットフォームが普及するなかで、世界中の端末ベンダーがスマートフォンを容易に開発できるようになったこと。そして、もう一つは携帯会社サイドで、これまで国際標準に対応していなかった周波数再編(新800MHz)が進み、容易にそうした端末を調達しやすくなったことが挙げられる。
国内におけるiPhoneのマルチキャリア化へ向けた条件整備が着実に進んでいることだけは間違いない。
◇関連情報
Column:米国ベライゾンによる「CDMA2000版iPhone 4」投入 (2011年1月13日木曜日)
http://mca-mobilenewsletter.blogspot.com/2011/01/columniphone.html
Column:スマートフォンによって変容するモバイル市場の構図 (2010年11月23日火曜日)
http://mca-mobilenewsletter.blogspot.com/2010/11/column_23.html
2011年3月1日火曜日
Column:強者間の『同質化』から『差別化』の戦いへと移行しつつある携帯市場
1.KDDIによるWiMAXスマホ&テザリング
市場の成熟化は、弱者の撤退と強者同士の同質化の戦いが本格化するが、次のステージは『強者間の差別化の戦い』になるのかも知れない。
昨日、KDDIはモバイルWiMAXに対応したスマートフォンの「htc EVO WiMAX ISW11HT」を4月上旬より発売することを明らかにした。
携帯とモバイルWiMAXがハイブリッド化され使えるようっており、料金は5,985円/月(525円/月の+WiMAX利用料は8月までは無料)。更には「htc EVO WiMAX ISW11HT」をポータブルルーターとして利用し、ほかの通信機器からネット接続できる テザリングの『解禁』にも踏み切ったことは、個人的には前回のスカイプ以上に市場へのインパクトは大きいのはないかと推察する。
テザリングは、利用者にとっては、1つの機器で複数の端末を接続できるとあって利便性の高いサービスだが、国内ではこれまで通信トラフィックへの影響を懸念し、特に大手は二の足を踏んでいたサービスだ。
弊社では、昨年の時点で2011年の携帯サービスの注目サービスとして、テザリングを取り上げていた。
KDDIは2011年度の端末戦略に関して、全体の半数以上をスマートフォンとして発表する予定で、国内向けのサービスに対応したWiMAX対応スマートフォンについても今後は検討していくとしている。
2.通信技術の差別化により疑問視されるSIM解除の効果
堅牢な3Gネットワークを擁するドコモに対抗するカタチで、ソフトバンクによる「TD-LTE」、そして今回のKDDIによる「モバイルWiMAX」一体化の動きは、今後の各社の戦いが「差別化」という流れのなかで行われるのではないかと予感させる。
これまで携帯各社は、方式やバージョンの違いこそあれ、同じ携帯電話という通信技術の上のレイヤーで差別化を一生懸命やってきたのだ。つまり、通信技術というレイヤーに限れば、同質だった。
しかし、これからは違う。それぞれが生きていく土俵を自らでつくり、そこで戦っていこうとしているように見える。
そして、そのことはある意味、市場活性化という大儀のために半ば強制的に総務省が推し進めてきたSIM解除が、各社が競争戦略の観点から独自の通信技術を取り入れていくなかで果たして機能するのかという疑問を持ってしまう。
異なる通信技術を採用している状況下で、携帯キャリア間で問題なくSIMフリーが機能するには、それぞれの技術に対応するための莫大なコストがかかってしまうだろう。
MNPしかり、周波数の割り当てもそうだが、どうも官主導には色々問題があるように思えてしまうのは私だけだろうか。
Reserch Note:SIM解除がもたらす新たな競争サービス (2010年11月30日)
http://mca-mobilenewsletter.blogspot.com/2010/11/reserch-notesim.html
市場の成熟化は、弱者の撤退と強者同士の同質化の戦いが本格化するが、次のステージは『強者間の差別化の戦い』になるのかも知れない。
昨日、KDDIはモバイルWiMAXに対応したスマートフォンの「htc EVO WiMAX ISW11HT」を4月上旬より発売することを明らかにした。
携帯とモバイルWiMAXがハイブリッド化され使えるようっており、料金は5,985円/月(525円/月の+WiMAX利用料は8月までは無料)。更には「htc EVO WiMAX ISW11HT」をポータブルルーターとして利用し、ほかの通信機器からネット接続できる テザリングの『解禁』にも踏み切ったことは、個人的には前回のスカイプ以上に市場へのインパクトは大きいのはないかと推察する。
テザリングは、利用者にとっては、1つの機器で複数の端末を接続できるとあって利便性の高いサービスだが、国内ではこれまで通信トラフィックへの影響を懸念し、特に大手は二の足を踏んでいたサービスだ。
弊社では、昨年の時点で2011年の携帯サービスの注目サービスとして、テザリングを取り上げていた。
KDDIは2011年度の端末戦略に関して、全体の半数以上をスマートフォンとして発表する予定で、国内向けのサービスに対応したWiMAX対応スマートフォンについても今後は検討していくとしている。
2.通信技術の差別化により疑問視されるSIM解除の効果
堅牢な3Gネットワークを擁するドコモに対抗するカタチで、ソフトバンクによる「TD-LTE」、そして今回のKDDIによる「モバイルWiMAX」一体化の動きは、今後の各社の戦いが「差別化」という流れのなかで行われるのではないかと予感させる。
これまで携帯各社は、方式やバージョンの違いこそあれ、同じ携帯電話という通信技術の上のレイヤーで差別化を一生懸命やってきたのだ。つまり、通信技術というレイヤーに限れば、同質だった。
しかし、これからは違う。それぞれが生きていく土俵を自らでつくり、そこで戦っていこうとしているように見える。
そして、そのことはある意味、市場活性化という大儀のために半ば強制的に総務省が推し進めてきたSIM解除が、各社が競争戦略の観点から独自の通信技術を取り入れていくなかで果たして機能するのかという疑問を持ってしまう。
異なる通信技術を採用している状況下で、携帯キャリア間で問題なくSIMフリーが機能するには、それぞれの技術に対応するための莫大なコストがかかってしまうだろう。
MNPしかり、周波数の割り当てもそうだが、どうも官主導には色々問題があるように思えてしまうのは私だけだろうか。
Reserch Note:SIM解除がもたらす新たな競争サービス (2010年11月30日)
http://mca-mobilenewsletter.blogspot.com/2010/11/reserch-notesim.html
2011年2月22日火曜日
ReserchNote:本当の意味の外洋時代を迎えた国内系企業
iPhoenやGalaxyなど、海外勢の攻勢を受けてきた国内端末市場だが、やっとFelicaや赤外線通信、ワンセグなど和製機能を搭載したスマートフォンの投入によって国内勢の巻き返しがはじまりそうだ気配だ。
最近ではIS03のシャープ製に続き、REGZAPhoneの富士通東芝、そしてNECカシオが年度内の投入に向け準備を進めているとの報道も見られる。おそらく、来年度早々にはパナソニックも本格投入していくるものと見られ、主要どころが勢揃いすることとなる。
但し、スマートフォンの登場によって回復傾向にある端末市場だが、SIMフリーへと市場構造が変化するなかで、これまでのように国内端末ベンダーが国内市場のほぼ100%を占めるという時代に逆戻りすることはない。
こうした状況は、端末だけではなく、携帯基地局などインフラ市場でも同じだ。
これまで携帯キャリアがインフラ設備にNTT仕様など国際標準技術に独自の仕様を織り込むことが、海外系ベンダーの参入障壁になってきた。ある海外系のインフラベンダーの担当者は、国内で営業力を強化するために最大の壁は『本社の説得』だと言う。海外ベンダーの本社としては、極東の島国の独自仕様にいちいち対応できないと言われ、携帯キャリアからは仕事をもらっても対応できないケースが多かったのだ。
しかし、先日のソフトバンクによる次世代XGPの「TD-LTE」や導入が進んでいるLTEでは、携帯各社がコスト削減の観点から独自仕様をできるだけ減らし、国際標準で運用していこうとしている。
尚、3Gサービスでも、ソフトバンクとイー・モバイルのインフラ設備は、ほぼ国際標準のまま導入されてきた。
壁がなくなるということは、品質や保守力なども大切だろうが、それ以上に重要となるのが価格競争力になる。その点では、国際市場向けにスケールメリットの最大化が享受できる海外系インフラベンダーにアドバンテージがあるのは明らかで、国内市場の8割程度を占めてきた国内勢には不利となる。
そうでなくても、ノキア不振によるマイクソフトOSの採用やカナダの通信機器メーカーであるノーテル破産など、世界市場で戦っている企業であってさえも生き残りが厳しくなってきている。
国内市場という内海で育ってきた国内系企業とって、本当の意味での外洋時代がはじまろうとしている。
最近ではIS03のシャープ製に続き、REGZAPhoneの富士通東芝、そしてNECカシオが年度内の投入に向け準備を進めているとの報道も見られる。おそらく、来年度早々にはパナソニックも本格投入していくるものと見られ、主要どころが勢揃いすることとなる。
但し、スマートフォンの登場によって回復傾向にある端末市場だが、SIMフリーへと市場構造が変化するなかで、これまでのように国内端末ベンダーが国内市場のほぼ100%を占めるという時代に逆戻りすることはない。
こうした状況は、端末だけではなく、携帯基地局などインフラ市場でも同じだ。
これまで携帯キャリアがインフラ設備にNTT仕様など国際標準技術に独自の仕様を織り込むことが、海外系ベンダーの参入障壁になってきた。ある海外系のインフラベンダーの担当者は、国内で営業力を強化するために最大の壁は『本社の説得』だと言う。海外ベンダーの本社としては、極東の島国の独自仕様にいちいち対応できないと言われ、携帯キャリアからは仕事をもらっても対応できないケースが多かったのだ。
しかし、先日のソフトバンクによる次世代XGPの「TD-LTE」や導入が進んでいるLTEでは、携帯各社がコスト削減の観点から独自仕様をできるだけ減らし、国際標準で運用していこうとしている。
尚、3Gサービスでも、ソフトバンクとイー・モバイルのインフラ設備は、ほぼ国際標準のまま導入されてきた。
壁がなくなるということは、品質や保守力なども大切だろうが、それ以上に重要となるのが価格競争力になる。その点では、国際市場向けにスケールメリットの最大化が享受できる海外系インフラベンダーにアドバンテージがあるのは明らかで、国内市場の8割程度を占めてきた国内勢には不利となる。
そうでなくても、ノキア不振によるマイクソフトOSの採用やカナダの通信機器メーカーであるノーテル破産など、世界市場で戦っている企業であってさえも生き残りが厳しくなってきている。
国内市場という内海で育ってきた国内系企業とって、本当の意味での外洋時代がはじまろうとしている。
2011年2月20日日曜日
Column:ソフトバンクの「TD-LTE」導入による競争力強化
1.「TD-LTE」の持つ潜在力
やはりというか、やっとというべきか。
ソフトバンクは世界最大手の中国チャイナモバイルやインド・バーティエアテル、英ボーダフォンと組み、次世代携帯電話技術の推進団体「グローバルTDーLTEイニシアチブ」を設立すると発表した。
傘下に収めた次世代PHS事業でTD―LTEと互換性を持たせるというもので、商用サービスを今年中に開始すると宣言した。
「TD-LTE」は、3GPPではLTEの「TDDモード」として、「FDDモード」と同時に3GPPリリース8で2009年春に策定されている。
両者は、基本的に同一規格で物理レイヤとMACレイヤは異なるものの、下りがOFDMA、上りがSC-FDMAを採用する。また、運用帯域幅も1.4、3、5、10、15、20MHzをサポートと共通で、上位レイヤは非常に似通っている。
具体的には、端末チップや基地局装置はソフトウェアの変更で対応可能となっており、基地局や端末の開発を担うベンダーにとっては開発リソースの多くを共通化できるというメリットがある。
「TD-LTE」のパワーは、今回参加を表明した携帯キャリアの抱える11億人という数からして、今後大きな勢力になることは間違いなく、一部には遠からずWiMAXを吸収するという見方が強くなっているほどだ。
2.「TD-LTE」採用のソフトバンクのメリット
次に、PHSのインフラを「TD-LTE」にスイッチしようとするソフトバンクのメリットを見ていこう。
今更言わずもがなだが、「TD-LTE」を選択することで、
・世界市場から基地局や端末を安価に調達できる
・「TDD」と「FDD」のデュアルモード端末が容易に開発可能
・その結果、自ら唯一の弱点とするネットワークインフラの増強が実現
ということになる。
3.導入へ向けた課題
「TD-LTE」導入にあたって、課題となりそうなのが、もともとXGP採用で認可していた2.5GHz帯について、総務省がどう判断するかということになりそうだ。
ソフトバンクは、総務省への利用申請に際してTD-LTEという言葉は極力使わず、名称を次世代版XGPなどとしながら進めるとみられるものの、改めて審査をするという可能性がない訳ではなさそうだ。
更に言えば、2.5GHz帯はウィルコムに割り当てたのであって、ソフトバンクが事実上一体運用するということになれば、話が違うという意見も出てきそうだ。
但し、同じく2.5GHz帯向けにモバイルWiMAXを展開しているUQコミュニケーションズは、他社へのMVNOをやりはしているが、KDDIとの一体運用が行われているのも事実であり、同じくMVNOの義務付けでソフトバンクに認可という展開もありそうだ。
いずれにしても、苦境に陥り引き取り手がなくて最後に駆け込んだのがソフトバンクであり、総務省に筋論をどこまで通す気概があるのだろうかという気もする。
ソフトバンクのパワーが更に増強されていくことだけは、間違いなさそうだ。
【関連情報】
Column:3.9Gの本格競争前に早くも選定された4Gの技術規格
http://mca-mobilenewsletter.blogspot.com/2010/10/column_26.html
Column:復活の狼煙を上げたウィルコムの切り札投入
http://mca-mobilenewsletter.blogspot.com/2010/12/column.html
Reserch Note:海外の再編の影響受け地殻変動進む国内モバイルインフラ市場
http://mca-mobilenewsletter.blogspot.com/2010/09/reserch-note_23.html
Reserch Note:日本へのTDD-LTE導入の可能性
http://mca-mobilenewsletter.blogspot.com/2010/09/reserch-note.html
やはりというか、やっとというべきか。
ソフトバンクは世界最大手の中国チャイナモバイルやインド・バーティエアテル、英ボーダフォンと組み、次世代携帯電話技術の推進団体「グローバルTDーLTEイニシアチブ」を設立すると発表した。
傘下に収めた次世代PHS事業でTD―LTEと互換性を持たせるというもので、商用サービスを今年中に開始すると宣言した。
「TD-LTE」は、3GPPではLTEの「TDDモード」として、「FDDモード」と同時に3GPPリリース8で2009年春に策定されている。
両者は、基本的に同一規格で物理レイヤとMACレイヤは異なるものの、下りがOFDMA、上りがSC-FDMAを採用する。また、運用帯域幅も1.4、3、5、10、15、20MHzをサポートと共通で、上位レイヤは非常に似通っている。
具体的には、端末チップや基地局装置はソフトウェアの変更で対応可能となっており、基地局や端末の開発を担うベンダーにとっては開発リソースの多くを共通化できるというメリットがある。
「TD-LTE」のパワーは、今回参加を表明した携帯キャリアの抱える11億人という数からして、今後大きな勢力になることは間違いなく、一部には遠からずWiMAXを吸収するという見方が強くなっているほどだ。
2.「TD-LTE」採用のソフトバンクのメリット
次に、PHSのインフラを「TD-LTE」にスイッチしようとするソフトバンクのメリットを見ていこう。
今更言わずもがなだが、「TD-LTE」を選択することで、
・世界市場から基地局や端末を安価に調達できる
・「TDD」と「FDD」のデュアルモード端末が容易に開発可能
・その結果、自ら唯一の弱点とするネットワークインフラの増強が実現
ということになる。
3.導入へ向けた課題
「TD-LTE」導入にあたって、課題となりそうなのが、もともとXGP採用で認可していた2.5GHz帯について、総務省がどう判断するかということになりそうだ。
ソフトバンクは、総務省への利用申請に際してTD-LTEという言葉は極力使わず、名称を次世代版XGPなどとしながら進めるとみられるものの、改めて審査をするという可能性がない訳ではなさそうだ。
更に言えば、2.5GHz帯はウィルコムに割り当てたのであって、ソフトバンクが事実上一体運用するということになれば、話が違うという意見も出てきそうだ。
但し、同じく2.5GHz帯向けにモバイルWiMAXを展開しているUQコミュニケーションズは、他社へのMVNOをやりはしているが、KDDIとの一体運用が行われているのも事実であり、同じくMVNOの義務付けでソフトバンクに認可という展開もありそうだ。
いずれにしても、苦境に陥り引き取り手がなくて最後に駆け込んだのがソフトバンクであり、総務省に筋論をどこまで通す気概があるのだろうかという気もする。
ソフトバンクのパワーが更に増強されていくことだけは、間違いなさそうだ。
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