2012年11月26日月曜日

LTEの電波状況のニュースに見るステマの可能性



 iPhone5の発売以降、各社の通信インフラの整備状況についてのニュースを目にする機会が増えている。

 ガラケーの10倍以上のトラフィックが発生するスマートフォンの普及が、着実に携帯キャリアのインフラ能力を限界へと追いやっており、Wi-Fi拠点の拡充などオフロード対策を急いでいるものの、特効薬を見出せないでいる。

 iPhone5の登場で携帯インフラが更に注目されたのには、同端末で使用する2.1GHz帯という周波数にあった。

 ソフトバンクもKDDIも、同周波数の準備が不十分で、なかでもソフトバンクについては、1.7GHz帯を持つイー・アクセスを買収までに至ったことは記憶に新しい。

 そんな両社のつばぜり合いの影響もあるのか、いくつかの調査会社から携帯各社のLTEの電波状況(広さ/スピードなど)についてのレポートが発表されている。

 全てのデータに目を通しているわけではないが、なかには「え~」と違和感を覚える内容もあったりする。

 弊社の専門分野の1つは「携帯インフラ」だが、別にそうでなくても、この業界で仕事をやられてている方なら、分かると思うのだが。

何故こうした違和感を覚えるようなデータが次々に出てくるのか?

 最近、意見交換した知人(コンシューマ系同業者)によると、答えは「ステルスマーケティング」なのだと言う。つまり、データをある会社(クライアント)にとって有利なように加工し、発表してお金を得ているのだ。続けてその人は、「クライアントのなかには、そうした細工をする部隊まで存在する」と解説する。

 決して表にはでないことなので、その真偽については図りかねるが、現在の状況は仮にそうであったとしてもおかしくないかもと思ったりする。

執筆:天野浩徳
 
 

2012年11月22日木曜日

流通へも押し寄せるスマタブ時代の変化の波


 先日、ネット上でKDDIが2013年末までに「家電量販店で携帯電話の販売に携わる契約社員を約2500人雇用する方針を固めた」というニュースが流れた。
 
 スマートフォンの普及に伴い、使い方や料金体系が複雑になってきおり、消費者にわかりやすく説明・提案できる人材を育成していくには、派遣ではなく、契約社員や更には正社員化が望ましいとの判断によるものだとしている。
 
 当然だが、現場で働くスタッフにとっては、派遣よりは契約や正社員の方が待遇も安定し、好ましいことは間違いない。
 
 もとより、携帯電話の販売現場は「3K」の1つと言われ続け、その状況は改善するどころか、スマートフォンの登場で面談時間が長くなったり、顧客のクレームも多くなったりと悪化の一途を辿っている。
 
 携帯電話の販売チャネルは大きく、家電量販店と携帯ショップの2つに分類されるが、状況はショップでも全く同じだ。
 
 携帯ショップの運営は、基本的には携帯キャリアではなく、代理店が行っている。
 
 代理店でも事情は同じで、その販売の大変さから人材の募集については、慢性的な課題となっている。
 更には近年のお金を直接顧客に落とし、その分代理店向けを引き締める(手数料引き下げ)といった携帯キャリアの姿勢に代理店からは批判的な意見もでてきており、これまでのような蜜月時代が端境期を迎えている。

 もっとも、携帯キャリアとしては激化する競争状況のなかで、スマタブ時代の最適なカタチ(エコシステム)を模索している段階であり、今回のKDDIの契約社員雇用化の他にも、ソフトバンクモバイルが来年から導入する「優良オーナー制度など、まさに代理店との新たな距離感について走りながら考えているように映る。
 
 そして、複数の関係者によると、その変化ははじまったばかりのようだ。あるところでは、その関係を更に大きく変化させるようなことを検討している。
 
 変化の波は、流通へも大きな変革を迫っていくこととなりそうだ。

執筆:天野浩徳

2012年11月16日金曜日

【iPhoneインパクト】で考えさせられる『大儀』と『発信力』の大切さ



 スマタブ時代に最適なカタチ(エコシステム)へ向けた進化の途中なのかもしれない。

 ドコモによる「らでいっしゅぼーや」、「タワーレコード」などの子会社化による総合生活企業化。

  KDDIによる携帯と固定連携によCATV会社取り込みやスマートバリュー、ソフトバンクによるイーアクセスやスプリントネクステル買収なとなど、相変わらず話題には事欠かない業界である。

 フィーチャーフォンのときのように、明確なターゲットを設定し、ひたすらキャッチアップしていくのではなく、スマタブ時代は、各社が思い描く未来へ向け走っていくということなのかも知れない。

 しかし、こうした戦略も各社が至近距離で鉄砲を打ち合っている現場で勝ち続けなければ、単なる絵空事となってしまう。

 そんな観点で足元を見て行くと、言わずもがなで戦況(=勢いの差)は明らかである。

 予想されていたことだが、iPhoneのパワーは圧倒的だ。果たして、iPhoneに背を向けたドコモの選択は正しかったのか。ここへ来て苦境から脱するためにiPhone投入に踏み切るのではと語る識者もいると聞く。

 アップルの条件を丸呑みするカタチでいち早くiPhoneを手にしたソフトバンクに続き、あれほど「Android au」というキャッチコピーを大々的に宣伝していたKDDIはというと、手のひら返して今に至っている。

 そんな事を考えると、この後に及んでドコモがiPhoneを扱うという選択肢はあり得なくもないのではと思ったり。

 仮に、ドコモがiPhoneを扱うようになれば、今の市場構図を一変させるだけのインパクトとしては十分すぎるだろう。

 ただ、個人的に最近思うのは、現場が大事だからこそ、それ以上に「大義(大切にしている価値観や考え方)」を顧客へ向けて発信していく必要があるのではないかということ。



◎何で、iPhoneを売っているのか。
 
◎何で、iPhoneを売らないのか。

  例えば、純増競争ではiPhoneを扱っているところが有利に見えるが、彼らにとってアップルなしの経営はもはや考えられない。定期的に意見交換させていただいている複数の関係者は、その未来について、「アップルに手足を縛られている姿が想像できる。」と口を揃える。

  つまりは、そういう犠牲を強いながら、iPhoneの果実を受け取っている訳だが、彼らからはそれ以外は何もメッセージとして聞こえてこない。ただ、それだけということだ。

 一方、ドコモがiPhoneを扱わない理由は何なのか?

・国内端末ベンダーを守るため・・・。

・土管屋になるのが嫌だ・・・・。

・顧客情報をアップルに持っていかれる・・・。

 未来から繋がる今の行動や選択に、顧客に説明できる「大儀」があるのか。もしあるとしたら、それは「大儀」ではなく単なる「自己都合」だったりはしないのか。

 
 そんなことを考えさせられる3社三様である。

執筆:天野浩徳