2011年2月22日火曜日

ReserchNote:本当の意味の外洋時代を迎えた国内系企業

 iPhoenやGalaxyなど、海外勢の攻勢を受けてきた国内端末市場だが、やっとFelicaや赤外線通信、ワンセグなど和製機能を搭載したスマートフォンの投入によって国内勢の巻き返しがはじまりそうだ気配だ。

 最近ではIS03のシャープ製に続き、REGZAPhoneの富士通東芝、そしてNECカシオが年度内の投入に向け準備を進めているとの報道も見られる。おそらく、来年度早々にはパナソニックも本格投入していくるものと見られ、主要どころが勢揃いすることとなる。

 但し、スマートフォンの登場によって回復傾向にある端末市場だが、SIMフリーへと市場構造が変化するなかで、これまでのように国内端末ベンダーが国内市場のほぼ100%を占めるという時代に逆戻りすることはない。

 こうした状況は、端末だけではなく、携帯基地局などインフラ市場でも同じだ。

 これまで携帯キャリアがインフラ設備にNTT仕様など国際標準技術に独自の仕様を織り込むことが、海外系ベンダーの参入障壁になってきた。ある海外系のインフラベンダーの担当者は、国内で営業力を強化するために最大の壁は『本社の説得』だと言う。海外ベンダーの本社としては、極東の島国の独自仕様にいちいち対応できないと言われ、携帯キャリアからは仕事をもらっても対応できないケースが多かったのだ。

 しかし、先日のソフトバンクによる次世代XGPの「TD-LTE」や導入が進んでいるLTEでは、携帯各社がコスト削減の観点から独自仕様をできるだけ減らし、国際標準で運用していこうとしている。

 尚、3Gサービスでも、ソフトバンクとイー・モバイルのインフラ設備は、ほぼ国際標準のまま導入されてきた。

 壁がなくなるということは、品質や保守力なども大切だろうが、それ以上に重要となるのが価格競争力になる。その点では、国際市場向けにスケールメリットの最大化が享受できる海外系インフラベンダーにアドバンテージがあるのは明らかで、国内市場の8割程度を占めてきた国内勢には不利となる。

 そうでなくても、ノキア不振によるマイクソフトOSの採用やカナダの通信機器メーカーであるノーテル破産など、世界市場で戦っている企業であってさえも生き残りが厳しくなってきている。

 国内市場という内海で育ってきた国内系企業とって、本当の意味での外洋時代がはじまろうとしている。

2011年2月20日日曜日

Column:ソフトバンクの「TD-LTE」導入による競争力強化

1.「TD-LTE」の持つ潜在力

 やはりというか、やっとというべきか。

 ソフトバンクは世界最大手の中国チャイナモバイルやインド・バーティエアテル、英ボーダフォンと組み、次世代携帯電話技術の推進団体「グローバルTDーLTEイニシアチブ」を設立すると発表した。

 傘下に収めた次世代PHS事業でTD―LTEと互換性を持たせるというもので、商用サービスを今年中に開始すると宣言した。

 「TD-LTE」は、3GPPではLTEの「TDDモード」として、「FDDモード」と同時に3GPPリリース8で2009年春に策定されている。

 両者は、基本的に同一規格で物理レイヤとMACレイヤは異なるものの、下りがOFDMA、上りがSC-FDMAを採用する。また、運用帯域幅も1.4、3、5、10、15、20MHzをサポートと共通で、上位レイヤは非常に似通っている。

 具体的には、端末チップや基地局装置はソフトウェアの変更で対応可能となっており、基地局や端末の開発を担うベンダーにとっては開発リソースの多くを共通化できるというメリットがある。

 「TD-LTE」のパワーは、今回参加を表明した携帯キャリアの抱える11億人という数からして、今後大きな勢力になることは間違いなく、一部には遠からずWiMAXを吸収するという見方が強くなっているほどだ。
 
2.「TD-LTE」採用のソフトバンクのメリット

 次に、PHSのインフラを「TD-LTE」にスイッチしようとするソフトバンクのメリットを見ていこう。

 今更言わずもがなだが、「TD-LTE」を選択することで、

 ・世界市場から基地局や端末を安価に調達できる
 ・「TDD」と「FDD」のデュアルモード端末が容易に開発可能
 ・その結果、自ら唯一の弱点とするネットワークインフラの増強が実現

 ということになる。

3.導入へ向けた課題

 「TD-LTE」導入にあたって、課題となりそうなのが、もともとXGP採用で認可していた2.5GHz帯について、総務省がどう判断するかということになりそうだ。

 ソフトバンクは、総務省への利用申請に際してTD-LTEという言葉は極力使わず、名称を次世代版XGPなどとしながら進めるとみられるものの、改めて審査をするという可能性がない訳ではなさそうだ。

 更に言えば、2.5GHz帯はウィルコムに割り当てたのであって、ソフトバンクが事実上一体運用するということになれば、話が違うという意見も出てきそうだ。

 但し、同じく2.5GHz帯向けにモバイルWiMAXを展開しているUQコミュニケーションズは、他社へのMVNOをやりはしているが、KDDIとの一体運用が行われているのも事実であり、同じくMVNOの義務付けでソフトバンクに認可という展開もありそうだ。

 いずれにしても、苦境に陥り引き取り手がなくて最後に駆け込んだのがソフトバンクであり、総務省に筋論をどこまで通す気概があるのだろうかという気もする。

 ソフトバンクのパワーが更に増強されていくことだけは、間違いなさそうだ。


【関連情報】
Column:3.9Gの本格競争前に早くも選定された4Gの技術規格
http://mca-mobilenewsletter.blogspot.com/2010/10/column_26.html

Column:復活の狼煙を上げたウィルコムの切り札投入
http://mca-mobilenewsletter.blogspot.com/2010/12/column.html

Reserch Note:海外の再編の影響受け地殻変動進む国内モバイルインフラ市場
http://mca-mobilenewsletter.blogspot.com/2010/09/reserch-note_23.html

Reserch Note:日本へのTDD-LTE導入の可能性
http://mca-mobilenewsletter.blogspot.com/2010/09/reserch-note.html

2011年2月16日水曜日

Column:世界の携帯端末市場におけるプレーヤー勢力図の変化

1.潮目の変化

 携帯電話の世界最大の展示会である市「モバイル・ワールド・コングレス(MWC)」がスペインのバルセロナで開催されている。

 過去の10年と比較し、今回はノキアやモトローラといった欧米勢が衰退する一方で、韓国サムスンやLG、日本のドコモ、中国のHUWEI、ZTEなど、アジア勢が主役に躍り出るなど、変化の潮目を迎えたような印象を受ける。

 なかでも象徴的な動きの1つとして挙げられるのが、ノキアによるスマートフォン向けのOSのマイクロソフトとの共同開発である。

2.欧米系端末ベンダーの衰退

 ノキアが「Windows Phone」を採用するほか、コンテンツ・アプリケーション販売ストアを統合する。また、ノキア端末に検索サービスとして「Bing」、検索連動広告として「adCenter」を採用し、マイクロソフトと共同のマーケティング施策、開発ロードマップの共有も行うという。両社で共同開発する端末は、2012年の発売を計画している。

 ノキア、エリクソン、モトローラといった欧米系端末ベンダーがスマートフォン向けOSとして、「EPOC(エポック)」をライセンスし普及させることを目指した合同ベンチャー「シンビアン」を設立すると発表したのが、1998年6月。ライバル3社の共通の敵は、PC向けOS市場の覇者であるマイクロソフトだった。

 「インフラメーカーらしい武骨なデザイン」とライバルから評されることの多かったエリクソンは、当時シェア3位ながら端末事業の不振から2001年4月にソニーと合弁会社「ソニー・エリクソン」を立ち上げた。また、2007年まで世界シェア2位だったモトローラのポジションは7位まで落ち込み、2010年末には同じく端末事業の不振から、同事業の分離を発表している。

 いずれも2000年代半ばからの韓国サムスン、LGといった新興端末ベンダーの台頭が流れを変えたきっかけとなったが、決定的だったのは従来のフィーチャーフォンからスマートフォンへと市場トレンドが一気に切り替わったことだった。

 アフリカなど新興市場では、これらのコスト構造では全く太刀打ちできないレベルで中国端末ベンダーの低価格端末が市場を席巻し、高機能端末ではiPhoneやブラックベリー、そしてアンドロイド端末といった新たなプレーヤーに主導権を握られた。

 携帯端末市場の巨人と呼ばれたノキアも事情は同じだ。世界の携帯電話市場においてスマートフォンの割合は既に20%を突破するなか、同社のOS「シンビアン」の市場シェアは今でも40%弱あるとは言え、前年比10%前後のダウンとなっている。ちなみに、携帯電話端末市場全体の同社のシェアは2009年の38%から2010年は33%に落ち込んでいる。
 
 実際、2007年に20%以上あったノキアの携帯電話事業の営業利益率は、最近は10%を割り込んでいるような状況だ。

3.ノキアの葛藤

 こうした凋落に危機感を抱いたノキア首脳部が、2010年9月に再建を託したのがマイクロソフトのビジネス部門を率いていたエロップ氏だ。

 決算発表に際して、それまでのノキアの戦略を抜本的に変える用意のあることをうかがわせ、スマートフォン市場で「チャレンジャー」となる必要があると説いた。スマートフォン部門の能率向上をはかるため、全社の2.8%にあたる1,800人のリストラを行ったり、米ベライゾン・コミュニケーションズからジェリ・デバード氏を新しく設けた最高マーケティング責任者(CMO)のポストに招くなど、矢継ぎ早の改革を進めてきた。

 その一方で、ノキアでスマートフォン戦略を牽引し、次期CEO候補、もしくは「ノキアのスティーブ・ジョブズ」とも言われてきたアンシ・バンヨキ氏が退任するなど、ノキアのスマートフォン戦略が大揺れであることを伺わせていた。

 エロップ氏は、今回のマイクロソフトとの提携について、ノキアの「シンビアン OS」搭載端末とマイクロソフト「Windows Phone 7」採用する携帯端末をあわせた出荷台数は、2010年Q4に約3,000万台と、スマートフォン市場のなかで依然として約30%を占めており、「アップル「iPhone」とAndroid勢、ノキア-マイクロソフトの三頭によるレースになる」と述べている。

 尚、ノキアは、これまで独自OSの「シンビアン」、米インテルと共同開発中のOS「MeeGo(ミーゴー)」があり、2010年秋にシンビアン・ファウンデーションの方針変更を発表し、シンビアンを自社下に編入。これにより、同年2月にインテルと共同発表したMeeGoをハイエンドに、シンビアンはエントリーにという方向を打ち出していた。
 
 市場では、ノキアがフィンランドのエスポーから米国のシリコンバレーへ本社機能の移転を検討しているとか、マイクロソフトによるノキア乗っ取りといった過激なコメントも聞かれるが、それだけトップ企業であっても日々激変する市場の変化に対応できなければ、簡単に転落する危険性があるということではないだろうか。

 ノキアの今後に注目していきたい。

2011年2月8日火曜日

Column:4G商用化へ向け課題となる携帯キャリアの収益モデル創出

 LTEの商用化がはじまったばかりというのに、ドコモは第4世代(4G)移動通信方式「LTE-Advanced」の実験用無線局の予備免許を取得したと発表した。

 実験試験局免許が得られた後、横須賀市のドコモR&Dセンタ内および周辺と、相模原市の市街地で実際の使用環境で無線伝送実験を行うとしている。

 3.9Gとも言われるLTEの次の世代が4Gであり、国際電気通信連合(ITU)の無線通信部門(ITU-R)では、2010年10月にそれまで検討されてきた6つの規格案から「LTE-Advanced」と「WirelessMAN-Advanced」の2つを選択している。

 「WirelessMAN-Advanced」は、、UQコミュニケーションズが提供しているモバイルWiMAX(IEEE802.16e)の次世代技術である。

 既にドコモは、室内信号伝送実験で下り約1Gbps、上り約200Mbpsの伝送には成功している。

 他社へ先駆けて4Gの開発を推進していくあたり、携帯キャリアでありながら世界でも稀有な社内に研究開発部門を持つという事業体だからなせるワザだろう。世界トップにこだわったW-CDMA、FOMA立ち上げ当初の苦労を繰り返すことを嫌いITU-Rに4Gへの橋渡しとしてLTEを提案して標準規格にするあたり、世界広しといえどもドコモならではないだろうか。

 2015年以降の導入とされる4Gだが、そのエリア展開は3Gのように全国をカバーするものではなく、需要が高いエリアへ既存のネットワークにオーバーレイの形で展開されていくと見られる。

 その頃になると、加入者の純増もほぼほぼストップ状態(対ヒト向け)となり、4Gの基地局投資コストをどのように回収してくのか大きな問題になるだろう。4G化への流れとともに、携帯キャリアには新たな収益モデル創出という課題が突きつけられている。

2011年2月7日月曜日

Column:2011年1月の加入者推移から見える各社の思惑

 電気通信事業者協会(TCA)による2011年1月時点の携帯電話・PHS契約者数が発表された。

 それによると、純増トップは10ヶ月連続でソフトバンクモバイル(24万600件)で、2位がドコモの13万4,000件。3位がイー・モバイルの8万1,500件、KDDIが6万7,000件と続いている。また、UQコミュニケーションズは7万5,900件だった。

 2010年12月と比較すると、ソフトバンクのトップは相変わらずだが、1月は8万件程度少なくなっている。また、前月に最下位ででUQコミュニケーションズに2ヶ月連続で敗れたイー・モバイルは、KDDIとUQコミュニケーションズを抑えて3位に上昇した。

 一方、大きなトピックスとして注目されるのが、毎月5万件前後の純状態で推移してきたウィルコムの純減数が400件にまで改善されてきている点だ。

 イー・モバイルとウィルコムが加入者獲得競争で明るい兆しが見えている背景には、両社とも他社向け通話定額サービスの導入効果があると見られるが、こうした攻勢に携帯大手3社は、下記のような学割キャンペーンを年度末(2011年1月28日~5月31日)に展開することで対抗する構えだ。

 ドコモ⇒基本料390円「応援割引」
 KDDI⇒基本料390円「ガンガン学割」
 SBM⇒基本料無料「ホワイト学割with家族2011」

 そして今後の競争力を占う上で気になるのが、イー・モバイルの法人向けに「iPad Wi-Fi」モデル販売である。一見すると、イー・モバイルがアップルの販売代理店になるということのようだが、個人的にはこれをきっかけに大きな動きがはじまったようにも思える。

 その点、各社の加入者推移とともに注意していく必要があるだろう。

Column:周波数オークション消滅?の説明責任

 注目を集めていた周波数オークションが、突然立ち消えとなりそうだ。

 政府は、2010年12月に開催されたICTタスクフォースの政策決定プラットフォームで、主に700M/900MHz帯の再編にあたり、周波数オークションの考え方を取り入れた制度を創設するため、必要な関連法案の整備を行っていくとしていた基本方針を打ち出していた。

 しかし、2月8日に閣議決定される予定の電波法改正案には、そうしたオークションに対する考え方は削除されているのだという。

 周波数の割り当てについては、わが国は実質、総務省が割当先を決める方法となっているが、これについて以前より決定プロセスが「不透明」と批判があることに加え、財政難に苦しむ政府としても、オークションによって収入が増えるというメリットがあり、民主党政権下で検討されてきた。

 もっとも、オークション導入には落札価格の上昇により、それが結果的にサービス価格の高騰につながる可能性もある。実際、2000年頃に欧米で行われた3Gの周波数オークションでは、落札総額が米国では約1兆9,000億円、英国は約4兆円、ドイツは約5兆円にまで上昇し、結果、巨額の落札価格に耐え切れず周波数を返上したり、資金枯渇で3Gサービスを提供できないケースが続出した。

 そのため、政府としてもオークション導入の方法について、様々な角度から検討しているとされてきた。

 閣議決定までされてきた周波数オークションが消えた理由は何なのか?

 一説には、利権(特別会計)と化している電波利用料(2009年度で約640億円)が無くなることを恐れた総務省の官僚と、オークション導入に一致団結して反対してきた携帯キャリアの抵抗が功を奏したとも言われている。

 他にも、検討されてきた700/900MHz帯では時間的な制限から断念するが、4Gからは予定通りオークションが導入されるといった意見もあるようだ。

 とりあえず総務省や政府は何事もなかったかのように消すのではなく、オークション導入に関する説明責任を果たすべきではないだろうか。

2011年2月3日木曜日

Column:本番を迎えるタブレット市場向けOSの競争

iPadが牽引するタブレット市場だが、Strategy Analyticsによると、iPadのQ4の世界における市場シェアは75.3%で、「Android」搭載端末の21.6%だった。しかしQ3はiPadが95.5%、Androidが2.3%だったことからすると、Androidが着実にポジションをアップさせていることが伺える。

 ちなみに、2010年通期の両者のシェアでは、iPadが84.1%、Androidが13.1%だったとしている。

 Androidの牽引役となったのはサムスンの「GALAXY Tab」だったとしているが、韓国の聯合ニュースによると2010年全体で、200万台のGALAXY Tabを出荷したとしている。

 しかし、この数字を巡っては一部サイトでサムスンの幹部が実売数は「きわめて順調」だったとコメントしたにも関わらず、「きわめて少ない」 と掲載されたことで、混乱が生じた。

 但し、米国の携帯電話販売店の販売情報を追跡しているITG Investment Researchによると、iPadの同時期における返品率は2%だったのに対し、「GALAXY Tab」は約13%にも上っているということからも、まだ両者を比較するには無理があるような印象も受ける。

 先日、Android OSの開発を手がけるグーグルは、タブレットに最適化した新プラットフォーム「Android 3.0(コードネーム:Honeycomb)」に関する発表を行った。

 本格的な競争は2011年からとなりそうだ。

Column:日本通信とイー・モバイル小競り合い?

 ツイッター上で日本通信の三田社長が、「イーモバイルがIDEOSの販売を止めようとしている」とつぶやき、ちょっとした話題になっている。

 IDEOSは日本通信が2010年12月に発売したHUWEI製のスマートフォンで、イー・モバイルも同様の製品「Pocket WiFi S」を2011年1月より投入している。

 イー・モバイルの「Pocket WiFi」は同社成長の原動力となっている製品で、これまでにPocket WiFiの同型機種が世界で100万台出荷され、そのうち60万台がイー・モバイルの販売であったことを明らかにしている。

 「Pocket WiFi S」の発表の席上、イー・モバイルは同等のハードウェアとなる「IDEOS」が発売されていることを尋ねられると、「イー・モバイルがファーウェイの日本における正規代理店。(日本通信提供のものは)並行輸入品のようなもので、当社では関知しない」と述べたほか、日本通信のIDEOSを持ち込んでイー・モバイル回線を契約したいというユーザーには? という問いに「(回線契約は)提供しない」とコメント。

 その後、HUWEIジャパンも、日本通信発表の「IDEOS発売」に対し、「ファーウェイ・ジャパンを通じて発売するものではない」とのコメントをわざわざ発表するなど、イー・モバイルからの圧力でもあったのだろうか、明らかに不快感を示していた。

 きっと、イー・モバイルにしてみると全く同じ機種をSIMロックフリー、契約縛りなしで販売されるということで、面白くないということなのかも知れない。

 2月3日は日本通信の「2011年3月期 第3四半期決算発表」となっている。

 発言が注目される。

2011年2月2日水曜日

Column:急成長を遂げるSNSの断片‘考’

 有名タレントを起用し、洪水のようにTVCMをタレ流し、新規会員を集めているのが、モバゲーやグリーといったSNS(ソーシャルネットワークサービス)だ。

 いずれも2,000万以上の会員を抱え、今やiモードなど携帯会社と肩を並べるプラットフォーム会社である。一時期、テレビで「無料です」のCMを流していたものの、実は無料は入り口だけで、ゲームで使うさまざまなアイテムに課金していくことで、金の成る木として急成長してきた。

 DeNAの売上高は前年同期比3.2倍の271億円、対するグリーは同82%増の124億円という急成長を遂げている。特筆すべきはそれだけではない。営業利益率はともに約50%という高収益性でもあるという点だ。

 昨年には、グリーとの取引を停止するようゲームソフト開発会社に圧力をかけたとの疑いで、「モバゲータウン」を運営するDeNAに公正取引委員会が立ち入り検査が入った。

 果たして、本当にそうした圧力があったのか真相は分からないが、SNS向けのゲームは「ソーシャルゲーム」と呼ばれ、国内では約2年前からDeNAやグリーなどSNS大手が参入し、2010年よりそれぞれ外部のゲーム開発会社のゲームを提供し始めたことで、ゲーム会社の囲い込みが激しくなったとされている。

 iモードなど携帯会社のプラットフォームと異なり、SNS向けのゲーム(SAP:Social Application Provider)ではDeNA、グリー自らもゲームを供給しながら、外部からもゲームを調達するという点があらゆる意味で業界の特異性を表しているようにも思う。

 国内で得た高成長と高収益を原資に、これらの会社は海外企業のM&Aなどで更なる成長を目指すとして鼻息は荒い。しかし、こうした企業が成長することが、日本経済にどれくらい寄与するのかなど、社会性という観点からの‘在り方’について、議論がもっと起きてもいいような気がするのは私だけだろうか。
 
 

2011年2月1日火曜日

Column:端末の魅力&携帯会社の‘作為’でバカ売れているスマートフォン

 ドコモは1月28日、2010年度第3四半期の決算を発表した。営業収益は前年同期比1%減の3兆2,091億円、営業利益が前年度比7.9%増の7,585億円、純利益が6.7%増の7,486億円で、減収増益となった。

 減収要因となっているのが、音声ARPUの低減だ。音声収入は前年同期比で1,405億円減少しているが、そのうちの800億円程度が、基本使用料が安くなるバリュープランへの移行の影響としている。バリュープランの契約率は12月末で68%となっており、その影響は今後1年程度は続くとしている。

 スマートフォンが予想以上に拡大しており、2010年度を250万台(当初の目標は130万台)と上方修正し、2011年度は600万台まで伸張し、2012年度には販売台数がフィーチャーフォンを超えると予測している。

 これほどスマートフォンが伸している背景には、当然だがフィーチャーフォンよりスマートフォンを望む顧客が多いためだろうが、しかし一方で加入者数増加が見込めない状況下で、もう1つの収益エンジンであるARPU増加のアクセルを踏みたい携帯各社の思惑があることも忘れてはならない。

 だから、今店頭にいくと、フィーチャーフォンよりスマートフォンの方が安価だし、そこには携帯各社が販売インセンティブをスマートフォンの方に多く投下し、ある意味スマートフォン購入へ仕向けるという‘作為’が働いているということが容易に察しがつく。

 伝え聞くところでは、今年の3月から続々と国内端末ベンダーのスマートフォン&タブレットが上市されるとのこと。数年後にはスマートフォンがスマートフォンと呼ばれることがなくなる時が来るのではないだろうか。