2010年11月2日火曜日

Reseach Nopte:『アップルの独自SIM開発報道』で改めて注目される端末ベンダーの強さの意味

 PM:世界の移動体通信産業を調査している研究者との意見交換にて。
 
 米IT系有力ブログのひとつ「GigaOM」が、欧州市場向けにiPhone用の独自SIMカードの開発をオランダのカードメーカー、ゲマルト(Gemalto)と共同で進めていると伝えた。

 これががあれば、顧客はアップルから店舗やWeb経由でiPhoneを購入して、購入時に携帯キャリアを選択できるようになる。つまり、通常は携帯キャリアが行うアクティベートをApp Storeからのダウンロードでできるようになるのだ。

 独自SIMには、アップグレード可能なフラッシュコンポーネントとROMエリアを備えたチップが埋め込まれている。ROMエリアには、キャリア関連の情報を除いて、ITやネットワークセキュリティに関してGemaltoが提供するあらゆるデータが含まれ、同社がは、キャリアのネットワーク上でサービスと電話番号を供給できるバックエンドインフラを提供する。

 世界の通信トレンドの1つが、iPhoneの登場以降、NokiaのMeeGo、Hewlett-PackardはwebOS、そしてSamsungはBadaというように、端末とソフトの垂直統合化にある。そうしたなかで、今回の報道の真偽のほどは別にして、仮に事実ならその流れを更に一歩進めることとなりそうだ。

 翻って日本ではどうか。海外の携帯キャリアと比較し、プラットフォームやコンテンツまで手がけ「ガラパゴス」と呼ばれるほど、国内端末ベンダーの国際競争力に影響を及ぼすほど、垂直統合化によるエコシステムを構築してきたことは周知の事実だろう。

 その観点から、実はこうしたグローバル端末ベンダーと相性がいいのは、周波数帯の問題はあるにせよ、上位レイヤーを持たないイー・モバイルだったりするのではないかと思ったりもするのだが、言いすぎだろうか。

 先日、移動体通信のグローバル市場を調査している外国の研究者と意見交換をしたのだが、その席で「何故、部品技術であれだけ優れている日本の端末ベンダーは、海外で活躍できないのか?」と聞かれ、答えに窮した。

 その方によると、国際市場で戦うには、いい商品や部品を作ること以上に誰か(携帯キャリア)におもねるのでなく、自ら道を切り開く‘強さ’を持っていることが絶対条件になるとしている。
 
 今一度、‘強さ’の意味を考えさせられた。